スプリットトンネルが効かない原因と対処|一部アプリだけVPNを外す設定
スプリットトンネル(Split Tunneling)は「一部のアプリ/サイトだけVPNを通さない(または逆に特定アプリだけVPNを通す)」ための機能です。ところが実際には、除外したはずのアプリがVPN経由になる、逆にVPNに入れたアプリが外に出るなど、想定どおりに分岐しないことがあります。原因はVPNアプリの不具合だけでなく、DNS設定・OS制限・アプリ側の仕様(DoH/プロキシ)・常時接続/キルスイッチなど複数に分かれます。ここでは最短で切り分けて直す手順をまとめます。
まず確認:スプリットトンネルが「効いているか」を正しくテストする
- VPNをONにした状態で、VPN対象のアプリとVPN除外のアプリの両方から「IP確認サイト」を開き、表示されるIP/国が変わるか確認します。
- 可能なら、除外アプリでモバイル回線・VPN対象アプリでWi-Fiのように回線を変えず、同一回線で比較します。
- IPは変わるのに「サイトの地域判定」だけ変わらない場合は、DNS/位置情報が原因のことがあります(後述)。
最短で直すチェックリスト(効く順)
1)モードの取り違えを直す(除外方式 / 許可方式)
VPNアプリによって、スプリットトンネルは次のどちらかです。
- 除外方式:選んだアプリだけVPNを通さない(それ以外はVPN)
- 許可方式(VPNのみ):選んだアプリだけVPNを通す(それ以外は直通信)
まずは「どちらの方式か」を確認し、意図したほうに設定されているか見直してください。
2)常時接続(Always-on)/キルスイッチが「除外」を無効化していないか
公共Wi-Fi対策で常時接続VPNやVPNなし通信のブロックを有効にしていると、OS側で「VPN以外を通さない」挙動になり、スプリットトンネルが効かない(または効きにくい)ことがあります。まずは以下を確認します。
- Androidの「常時接続VPN」「VPNなしの接続をブロック」をONにしていないか
- VPNアプリのキルスイッチが「VPN外通信も遮断する」挙動になっていないか
漏れ防止が目的なら、除外したいアプリが本当に除外してよいものかも合わせて見直してください(除外=保護が外れます)。
3)DNSが原因で「除外してもVPNっぽく見える」を潰す
スプリットトンネルが効いていても、DNSがVPN側に寄っていると「地域判定/ブロック/サービス挙動」がVPNっぽくなり、除外が効いていないように見えることがあります。次を順に試します。
- 端末のプライベートDNS(Android)やDNSプロファイルを見直す
- ブラウザのDoH(DNS over HTTPS)がONなら一度OFFにして比較(ブラウザはOSのDNSを無視する場合があります)
- VPNアプリ側でDNSを切替できるなら、標準/推奨DNSに戻す
DNSの基本と確認方法は、次の記事も参考になります。
4)IPv6やWebRTCなど「別経路」が混ざっていないか
環境によっては、VPNがIPv4中心で、IPv6が別経路になったり、WebRTCで別情報が見えたりして判定がズレます。症状が複雑な場合は、まず以下を確認します。
- VPNアプリに「IPv6を無効化」「IPv6リーク保護」などの項目があればON
- ブラウザの拡張機能や設定でWebRTC対策をしている/していないで挙動が変わるか確認
5)アプリ仕様で「そもそも分岐できない」ケースを見抜く
次のようなアプリは、OSサービスや独自通信の都合で、分岐が想定どおりにならないことがあります。
- アプリ内で独自プロキシ/独自DNSを使う(DoH内蔵など)
- バックグラウンド通信がOS/共通サービス(Google Play開発者サービス等)に寄っている
- 企業端末(MDM/プロファイル)でVPNやプロキシが強制されている
「特定アプリだけ開けない/挙動が変」系は、こちらの切り分けも役立ちます。
6)OS別の制限を押さえる(iPhoneは特に注意)
Android
- 「アプリごとのVPN」は対応していても、Workプロファイル/複数ユーザーで対象が分かれることがあります。
- VPNアプリ側の除外対象に入れても、OS側の「常時接続」「ブロック」設定が優先される場合があります。
iPhone(iOS)
iOSは仕組み上、アプリ単位の完全なスプリットトンネルができない/制限が強いことがあります。VPNアプリが「スプリットトンネル対応」と書いていても、できるのは「特定サイトのみ」や「ローカルネットワークのみ除外」など限定的な場合があります。期待どおりに分岐しないなら、そのVPNアプリの対応範囲(iOSでの仕様)を確認してください。
Windows/Mac
- 管理者権限が必要、再起動が必要、特定のアプリ(UWP/ストアアプリ等)は対象外、など制約があります。
- セキュリティソフト/ファイアウォールがVPNドライバと競合すると挙動が不安定になります。
おすすめの使い分け(事故らない運用)
- 公共Wi-Fiでは「漏れない」を優先し、基本はVPNをON(除外は最小限)
- 銀行/決済など「弾かれやすいアプリ」だけ一時的に除外し、終わったら戻す
- 除外が安定しないなら、スプリットトンネルに頼らず「一時OFF→作業→ON」に切り替える
それでも直らないとき:安定性重視のVPNを確認
スプリットトンネルはVPNアプリの実装差が大きく、同じOSでも安定性に差が出ます。設定を試しても想定どおりに分岐しない場合は、安定性重視の候補をランキングで確認してください。
まとめ:モード確認→常時接続/キルスイッチ→DNS→OS制限の順で切り分ける
スプリットトンネルが効かないときは、まず「除外方式/許可方式」の取り違えを直し、常時接続やキルスイッチが除外を無効化していないか確認します。次にDNS(プライベートDNS/DoH)を見直し、iOSなどOS側の制限も踏まえて運用を調整すると、最短で安定させやすくなります。
スプリットトンネルの基本(何ができて何が危険か)を先に整理したい場合は、こちらも参考になります。


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