VPNが遅い原因がMTUだった|スマホ/PCで詰まりやすい設定の直し方
こちらの記事は症状特化記事になります。基本チェックがまだの方はこちらもしくはこちらから。
VPNを使うと「ページが開かない」「一部だけ止まる」「速度テストは出るのに体感が遅い」ことがあります。こうした症状は回線やVPNサーバー混雑だけでなく、MTU(通信で一度に送れる最大サイズ)が合っていないことで起きるケースがあります。この記事では、MTUが原因かどうかを症状から当てて、スマホ/PCでの直し方を手順でまとめます。
MTUが原因っぽい症状チェック
次のような「部分的に詰まる」症状は、MTU問題(フラグメントや経路上の制限)を疑うサインです。
- VPN接続中だけ特定サイトが開かない(ログイン画面・画像・決済だけ止まる等)
- ダウンロード/アップデートが途中で止まる、0%付近で固まる
- 速度テストは悪くないのに、Web表示やアプリが妙に重い
- Wi-Fiでは起きるがモバイル回線では起きない(またはその逆)
- VPNサーバーやプロトコルを変えても、「一部だけ」不調が残る
なぜVPNでMTU問題が起きやすいのか
VPNは暗号化してトンネル(カプセル化)するため、同じ通信でもヘッダー分だけ実質的にサイズが大きくなります。その結果、経路上のどこかで「このサイズは通らない」と判断されると、分割(フラグメント)や再送が増えたり、うまく調整できない環境では特定の通信だけが落ちることがあります。
ステップ1:まず切り分け(MTUが原因かを最短で判断)
- VPNをOFFにすると症状が消えるか確認します(同じ回線・同じ端末で比較)。
- VPNをONにして、サーバーを近い地域に変更します(遠い/混雑を除外)。
- プロトコルを変更します(例:WireGuard系 → OpenVPN(UDP) → IKEv2)。
ここまでで「VPN由来の遅さ/詰まり」が残る場合、MTU調整が効く可能性が上がります。
ステップ2:PCならMTUテストで「通る最大サイズ」を探す
PCはテストしやすいです。目的は「分割せずに通る最大サイズ」を見つけて、MTUをそれ以下に合わせることです。
Windows(コマンド)
例:宛先に対して、失敗しない最大値を探します(数値は大きい→小さいの順で調整)。
ping 8.8.8.8 -f -l 1472
成功する最大の「-l」の値を見つけたら、MTU = その値 + 28(IPv4の目安)で考えます。
macOS / Linux(コマンド)
環境によりオプションが異なるため、同じ考え方で「分割しない最大サイズ」を探します(例)。
# Linux例
ping -M do -s 1472 8.8.8.8
# macOS例(環境により挙動が異なるため、成功/失敗を見ながら調整)
ping -D -s 1472 8.8.8.8
ステップ3:直し方(効く順)
1)VPNアプリ側にMTU設定があるなら、まずそこで調整
VPNアプリやプロトコル設定に「MTU」や「MSS(最大セグメント)」項目がある場合は、そこで調整するのが一番安全です。まずは小さくしすぎず、少し下げて挙動を確認し、改善する範囲を探します。
2)プロトコルを変更(MTUの影響を受けにくい経路にする)
同じVPNでもプロトコルで詰まり方が変わります。MTUが原因っぽいときは、別プロトコルに切り替えるだけで改善することがあります。
3)Windows:VPNアダプタ(または利用中インターフェース)のMTUを設定
Windowsはインターフェース単位でMTUを変更できます。まず現在値を確認し、対象を特定します。
netsh interface ipv4 show subinterfaces
対象インターフェース名が分かったら、数値を設定します(値はステップ2のテスト結果を基準に調整)。
netsh interface ipv4 set subinterface "インターフェース名" mtu=XXXX store=persistent
設定後は再接続/再起動して、症状が消えるか確認します。
4)スマホ(Android/iPhone):アプリ設定と「使い分け」で回避
スマホはOS側でMTUを直接いじれないことが多いため、次の順で試すのが現実的です。
- VPNアプリにMTU/MSS設定があればそこで調整
- プロトコル変更(WireGuard系 ↔ OpenVPN(UDP) など)
- 別サーバー(近い地域・混雑の少ないサーバー)に変更
- 「特定アプリだけVPNを通さない」機能(スプリットトンネル)があれば、問題の出るアプリだけ例外にする
5)Wi-Fiだけで起きるなら、ルーター側の要因も疑う
Wi-Fiでだけ発生する場合は、ルーターの設定や混雑、回線の種類によって詰まり方が変わることがあります。まずは有線接続や別Wi-Fiで再現するかを確認し、再現しないならルーター側の影響が濃厚です。
MTU以外の速度トラブルもまとめて切り分ける
「遅い/開かない」はMTU以外にも、サーバー混雑・距離・端末の省電力・DNSなどが原因になります。全体の切り分け手順は次の記事が役立ちます。
安定して使うなら:トラブルに強いVPNをランキングで選ぶ
MTU問題は環境依存が大きく、相性でハマることがあります。最短で安定させたい場合は、速度と再接続に強く、設定の自由度やサポートが整ったVPNを候補から試すのが近道です。
まとめ:MTU由来の「一部だけ詰まる」は、切り分け→調整で改善しやすい
VPNで「一部だけ遅い/開かない」症状が出るときは、まずVPNのON/OFF、サーバー、プロトコルで切り分けます。それでも残る場合はMTUの影響を疑い、PCならテストで上限を探し、アプリ設定やインターフェース設定で合わせると改善しやすいです。最短で安定させたいなら、トラブルに強いVPNをランキングから選んで試すのが近道です。


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