スプリットトンネル(Split Tunneling)は、VPN接続中でも通信を「VPNを通すもの」と「通さないもの」に分けられる便利な機能です。たとえば「仕事用ツールはVPNを通して安全に」「動画や銀行アプリはVPNを通さず速く・正常に」といった使い分けができます。
VPNそのものの基礎から押さえたい場合は、VPNとは?初心者向けにわかりやすく解説も先に読んでおくと理解が早いです。
スプリットトンネルとは?(できることを1分で理解)
通常のVPN(フルトンネル)は、端末の通信をすべてVPN経由にします。一方スプリットトンネルは、通信を分けて一部だけVPN経由にできます。
主な方式は2つ
- 除外方式(Bypass / Exclude):指定したアプリ・サイトだけ「VPNを通さない」
- 指定方式(Route via VPN / Include):指定したアプリ・サイトだけ「VPNを通す」
どちらが使えるかはVPNサービスやOSによって異なります(特にiOSは制限が出やすいです)。
スプリットトンネルを使うメリット
- 速度を確保:動画・ゲームなど、VPN経由が不要な通信を外すと快適になります(速度改善はVPNの速度を改善する方法も参考にしてください)。
- ログイン不具合を回避:銀行・決済・一部の日本サービスはVPNで弾かれることがあるため、除外で解決しやすいです。
- ローカル機器に繋がる:プリンター・NASなどLAN内機器にアクセスしやすくなります(必要なら「LANアクセス許可」も確認します)。
- 在宅勤務の安定化:Web会議や社内ツールの相性が悪いとき、対象だけ除外して安定させられます(切断が続く場合は在宅勤務でVPNが切れる原因と対処法も確認してください)。
注意点:ここを間違えると「漏れる」
- 除外した通信は暗号化されません。機密性が高い通信(社内情報・個人情報・パスワード操作など)を安易に除外しないでください。
- 除外した通信が原因でDNSリークのような状態になることもあります。用語と確認方法はVPNのDNSリークとは?で整理できます。
- キルスイッチをONにしている場合、除外したい通信まで遮断されることがあります。その場合は「キルスイッチ設定」「除外方式/指定方式」を見直します。
使い方:スプリットトンネルの設定手順(基本はこの流れ)
- VPNアプリの設定を開き、「スプリットトンネル」「Split tunneling」「Bypass」「Exclude」「App/Website exceptions」などの項目を探します。
- 方式を選ぶ(除外方式:VPNを通さない/指定方式:VPNを通す)。
- 対象を選ぶ(アプリ単位・ドメイン単位・IP/サブネット単位など、対応範囲はVPNサービスによります)。
- VPNを再接続して反映させます(反映されない場合は端末再起動も試します)。
- 動作確認(該当アプリが正常動作するか、IPが変わる/変わらないかをチェック)。
よくある設定例(迷ったらこれ)
- 除外(VPNを通さない):銀行/決済アプリ、国内サービスのログイン、Web会議(音声が不安定なとき)
- 指定(VPNを通す):海外サイト閲覧、公共Wi-Fi利用時のブラウザ、P2P利用時の専用アプリ(※規約と法令に注意)
「何を除外していいか不安」なら、まずは問題が起きているアプリだけを小さく除外するのが安全です。
端末別のポイント(Windows/Mac/iOS/Android)
Windows
- アプリ単位の除外/指定が対応しやすいです。
- ローカル機器に繋がらない場合は「LANアクセス許可」や「プライベートネットワーク」設定も確認します。
Mac
- VPNサービスによっては、Macではスプリットトンネルが未対応、または機能が限定されることがあります。
- 手動設定ではなく、まずはVPNアプリの機能有無を確認してください。
iPhone(iOS)
- iOSは仕組み上、アプリ単位のスプリットトンネルが難しいケースがあります(VPNサービス側が対応していないことも多いです)。
- 「例外設定」が見当たらない場合は、端末/OS制約の可能性があるため、別方式(サーバー変更など)も併用します。
Android
- アプリ単位の制御に対応しやすい傾向です。
- VPNが不安定なときは、まずスマホでVPNを設定する方法も合わせて確認してください。
うまくいかないときのチェックリスト
- 設定後に再接続したか(多くは再接続が必要です)
- 方式が逆になっていないか(除外/指定を取り違えると期待通りになりません)
- キルスイッチが影響していないか
- ローカルアクセス許可(LAN許可)をONにすべき構成ではないか
- DNS/IPv6の影響がないか(詳しくはDNSリーク対策)
- VPN自体が頻繁に切れるなら、VPNがすぐ切れる原因と対処法の手順で安定化を先に行います。
それでも解決しない場合は、VPNが接続できない原因と対処法のチェックリストも使うと、原因を切り分けやすいです。
スプリットトンネル対応VPNの選び方
- 対応OS(Windowsだけ対応、などの差が出やすい)
- 方式(除外方式/指定方式、どちらに対応しているか)
- 例外の粒度(アプリ単位/サイト単位/両方)
- 安定性(切断が多いと意味がないため、実運用評価を確認)
選び方の全体像はVPNの選び方完全ガイド、ランキングの判断基準はVPNおすすめランキングの選定基準にまとめています。
補足:法律・規約の注意
VPNの利用自体が直ちに違法になるケースは多くありませんが、国・サービス規約・用途によって注意点があります。基本整理はVPNは違法?日本と海外の法律・規制をわかりやすく解説で確認できます。
まとめ:スプリットトンネルで「安全」と「快適」を両立する
スプリットトンネルは、VPNの弱点(速度低下・相性問題)を補いながら、必要な通信だけを安全に守れる機能です。まずは「問題が起きているアプリだけ」を小さく除外/指定して動作確認し、必要に応じて範囲を広げてください。対応状況はVPNによって差があるため、迷ったらランキングで比較して選ぶのが確実です。


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